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土地オーナー、特に貸宅地(=底地)を多く所有している土地オーナーにとって、不定期に発生するまとまった収入として「更新料」があります。「更新料」とは土地賃貸借契約が満了し、引き続き契約を更新する場合に、建物所有者から土地オーナーに支払われるお金のことを言います。

土地オーナーの中には慢性的な相続税の納税資金不足に悩んでいる人が多く存在します。一方で、貸宅地の地代はほとんどの場合低水準で、収益力の割に相続税ばかりかかるのが現実です。にも関わらず先祖代々の土地を簡単に手放すことも出来ず、悩んでいる土地オーナーも多数存在します。このような土地オーナーにとって、まとまったお金の入る「更新料」はまさに「恵みの雨」です。しかしこの「恵みの雨」も、所得税でその半分以上がとられてしまっては、喜びも半分です。ところが、このような更新料に対しては、通常の不動産所得よりも、低い税率が適用される「平均課税」という仕組みが存在します。このことを知らない土地オーナーも多く、また税理士もうっかり見落として所得税の過払いをしてしまっているケースが非常に多いのです。

※以下の計算においては、平成27年分以後の所得税率を用います。

「更新料」が使用料年額の2倍以上等一定の要件を満たすと、所得税法上「臨時所得」に該当することになります。「臨時所得」に該当すると「平均課税」という特別の計算方法によって所得税を計算することができます。この「平均課税」の対象となる所得には「臨時所得」の他「変動所得」があります。「臨時所得」には更新料の他、プロ野球選手の契約金等が、「変動所得」には作曲や養殖の所得等、それぞれ所得税法と所得税法施行令に明確に定義されています。仮に「変動所得」が無いとすると「臨時所得」の金額が、その年の総所得金額(基礎控除や医療費控除等の所得控除前の所得金額と考えてください)の20%以上であれば、「平均課税」による計算が可能になります。

仮に今、賃料収入を中心に毎年5,000万円の課税総所得金額(税率を乗じる直前の所得金額と考えてください。以下「所得」)の土地オーナーがいたとします。この土地オーナーの毎年の所得税は5,000万円×45%-4,796,000円=17,704,000円です。たまたまある年は、これに加えて更新料による所得が3,000万円あったとします。そうなりますとこの年は例年より3,000万円所得が多いですから、普通に考えると、所得税は(5,000万円+3,000万円)×45%-4,796,000円=31,204,000円となります。3,000万円の所得増加によって、所得税が31,204,000円-17,704,000円=13,500,000円増加していますから、更新料のちょうど45%が所得税でもっていかれたことになります。この他に住民税が10%と復興特別所得税2.1%がありますから、実質的にはせっかくの更新料の半分以上が税金でもっていかれることになります。

しかし更新料(あるいはプロ野球選手の契約金等)のように、一時的に発生した多額の所得に対しても、このように原則通り課税することは、あまりにも可哀想だということで、国は「平均課税」という仕組みを用意しました。この土地オーナーの平均課税の対象が、3,000万円の更新料(=臨時所得)だけであった場合、まず更新料以外の所得5,000万円と、更新料のうち5分の1の600万円の所得だけで原則的な計算方法により所得税を仮計算します。そうすると(5,000万円+600万円)×45%-4,796,000円=20,404,000円となりますから、実効税率は20,404,000円÷5,600万円≒0.36となります。そして更新料の5分の4については、この0.36をかけて所得税を計算する(ここが平均課税のになります)ため、2400万円×0.36=864万円となります。この864万円と最初に仮計算したの20,404,000円を足して29,044,000円が所得税額となり。平均課税によらないと、所得税は31,204,000円となりますから、これだけで216万円も所得税が変わってきてしまいます。

かつてはこの「平均課税」は、最初の確定申告でやっていなければ、後日誤りに気がついたとしてもやり直しはききませんでした。しかし平成23年度税制改正により、平成23年分以後の所得税については、申告期限から5年以内であれば還付が受けられるようになりました。心配であれば、一度、別の税理士に申告書をチェックしてもらうのが良いでしょう。

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