資産オーナーの課題を、独立・公正・中立の立場から解決する

解決【過程】のレベルで、相続問題の結末が変わる

川俣「お客さんに対して思いやりながら 時には厳しいことを言えるようでないと、
相続問題って円満に解決しないんですよね。」
金井「知識だけでなく、キャリアやそれに基づく度胸・精神性だって必要だったりする。」

相続手続は【過程】によって、結論が大幅に異なる

金井
さっき取り上げた弁護士と同じように、司法書士にも誰にお願いしたかで色々結果が変わってくる個人差があると思いますが、こういった個人差についての解りやすい事例なんかがあればお伺いしたいのですが。
川俣
そうですね。これは私の失敗談にはなるんですが、結果として、私が2つの失敗をしてしまったがために、弁護士の介入をはさむことになってしまった事案があるんですね。

これは相続の案件だったんですけれども、依頼人の方は、亡くなった方の奥様でした。旦那さんが亡くなって、相続が開始された。その後私の方に相続手続の依頼が来ました。それで依頼人のお家に面談に行って、今回の相続について主に4つのことを伺ったんです。

1つは、奥様以外の他の相続人について。亡くなった旦那様には妹がひとりいらっしゃいました。こういった事案ってけっこう気を使わなければならないんですよ。というのも相続人の関係が遠いと、意思疎通ができないことも多いんですね。

2つ目に、遺産の内容について。この事案では、自宅とわずかばかりの預貯金しかなかった。こういったとき、分割しようが無いのが自宅じゃないですか。だけどこの自宅は、奥様の終の棲家なので、売ってくださいとは言えないんですよ。ですから分割協議をどうやって調整しようかなと思いました。

3つ目が、遺言書について。遺言書があれば、もし「全財産を奥様に」という効力を発揮するものを書いてあれば問題なかったんですけど、残念ながら遺言書はなかった。

4つ目が、一番危惧していた相続人の人間関係について。意思疎通がほとんど出来てない最悪の状態とお伺いしました。その話のなかで、亡くなった旦那さんが、妹さんと実家の相続の際に対立して、弁護士をたてたことが過去にあったとお聴きしました。

その中で私が思ったのは、仮に私が「奥様の代理」として、妹さんとお話すれば、妹さんは「法律家が介入してきた」と解釈して、向こうも代理人をたてざるを得ない状況になるだろうと思ったんですね。ですから、私が黒子の立場で手続きを進めた方が「過程」として一番安全と想定したんですね。

そして奥様にお話したのは、「法定相続分という概念があり、奥様にとって最悪の場合、妹さんと財産を4分の1渡さなければならない。その覚悟はありますか?」ということでした。奥様は「その覚悟はある。」ということだったので、「私が黒子の立場に立つので、奥様と妹さんで交渉してください。」とお話しました。ただ、その奥様は相続問題にものすごく疲れてまして、遺産の整理でも追いついてない、頭の中がパニックになっている状況だったんですね。

何とか助けてあげたいと思って、妹さんとの電話でのやりとりの台本を作ってあげて、私と問答して練習したりしました。その後実際に妹さんに電話してもらいました。ただ実際の電話の中で、妹さんに「いいです。」「いいです。」「来なくていいです。」と言って電話を切っちゃったんですよ。

その時に私、「なんのお話だったんですか?もしかして妹さんが、旦那さんにお線香をあげたいとか言ってませんでしたか?」と質問したところ、奥さんが「実はそうです」と仰ったんです。「実は妹さんは、お線香をあげるときに、遺産分割のお話を奥様とするか、お家を見て、どんな遺産の内容かを見に行きたかったんじゃないですか?」「お願いですからもう一度妹さんにお電話をかけて、妹さんにお線香あげてもらうようお伝えしてください。」とお願いしたんですが、奥様は元々疎遠な仲の人との電話なので「もうお断りをしたので絶対に嫌です。」と言われてしまったんですよ。

ここが私のひとつめの失敗。結果として遺産分割の交渉が滞ってしまった。だからお客様である奥様に無理にでも電話してもらうよう強く言う必要があったんです。

ちなみにその奥さん、旦那さんの遺産の中に預貯金がすこしあったんですね。その通帳を見てみると、亡くなる前の預金額から少し減ってたんですよ。この預金通帳は、旦那さんの医療費などに使われていて、亡くなったあとも、お葬式の費用に使ってたんです。この預貯金について、妹さんが通帳の内容を確認したいという連絡がありました。

相続っていうのは、相続人の間で不信感が芽生えると途端にうまくいかなくなるので、「通帳の全部のコピーを取って、妹さんに渡してください。そうすれば多少の不信感は消えますから。」とお願いしました。ところが奥様は「もう面倒くさいから、通帳の残高だけ伝えればいいんじゃないですか。」と言われてですね。

これがふたつめの失敗です。妹さんの不信感を抑えることができなかったんですね。このときも、もっと強く奥様に伝える必要があったんですが、奥様を慮ってしまったんですね。

この二つの出来事の後、完全に黒子に徹して相続手続を進めてたんですよ。その後、奥様から何のお返事もなかったので、年末頃に奥様に「その後どうなりましたか?」とお話したところ、「奥様のことを信用できない妹さんが弁護士をたててしまった」ということになり、私ではもう対応できない範疇になってしまい、私の知り合いの弁護士を紹介したという流れなんですよ。

それから約1年程経過して、ずっと裁判外で弁護士さん同士の交渉を進めてもらってようやくまとまりそうになりました。それで遺産分割の内容を聴いたところ、私が奥様に覚悟をしてくださいと言った法定相続分とほとんど同じだったんです。

結局私は依頼者にもっと強く言っていれば、弁護士費用もかからず、決着まで1年もかからず、分割協議がまとまったかもしれない。だから私が、「強く言うこと」怠ったがために、依頼者が弁護士費用と時間を負担して、法定相続分に近い遺産分割額で決着してしまった。この件のお話は私の失敗談ではありますけれども、こういった「過程」を大事にできるかが、同じ士業でも大きく違う「差」になるかと思います。

金井
ありがとうございます。自分のお客さんに、こっちの言うことをきかせるのって難しいですよね。時にはガツーンと言わないと、お客さんが将来的に大変になるのがわかってるから・・・。
川俣
ええ、もう大変です(笑)
金井
本当にいっつも思いますね・・・。でもお客さんと最初接し始めたときは大変ですけど、時間が経って接する機会も増えてくると、だんだん言うこときいてくれるようになるでしょう?
川俣
この事例ではもっとゆっくり時間をかけて進めたかったんですよ。ただ奥様の疲れ様が尋常じゃなく、もうもたないんですね。だからできるだけ速く進めてあげたかったがために、決着に焦ってしまったかと思います。
金井
うちの事務所はほぼ生前で相続に決着をつけるから、時間にある程度余裕があるわけですよ。そうして遺産分割までのシナリオを描いて話を進めていると、大体そのとおりになるんですよ。それで信頼を築けるようにはしてます。

でもこの事例って相続になってからのお話ですから、期限内に遺産分割協議をまとめるために、お客さんと信頼関係を築いてっていう作業って、結構大変じゃないですか。依頼人が、目の前にやることがいっぱいあってという状態ですから。

川俣
奥様にとっては、終の棲家になる自宅を取られるのではないかってことが不安でしょうがなかったらしいんですよね。だから自宅だけはなんとか確保してあげたいって気持ちはあったんですけど。この事例では、最終的に自宅だけは確保することで決着することにはなりそうです。
金井
ちなみにお客さんにも厳しいことを時には言わなきゃならないってことですと、とある弁護士さんで、今でも印象に残っていることがあるんですけどね、

同じようにいうこときかないお客さんにあたって分割協議をすすめることになった際に、会社の株を法定相続分で分割しなければならないことを説明した。その案件では会社をつくった父親の遺産を、経営を引き継いだ兄と妹で分けなければならないんですが、兄の方が「会社を大きくしたのは父と自分だ。妹は専業主婦で会社のことには一切関わったことがない。だから父の会社の株を相続する必要はない。」って言い張るんですね。法定相続分というルールの話をしてもいうこときかないんです。

そこで「法律のことになるから弁護士の先生の事務所に一緒に行きましょうか。」ということで、相続・事業承継に関してはベテランの先生のところに行ってきたんです。そしたらその先生の対応にびっくりしたんですよ。

法定相続分の話で、相続人の兄の方が、その先生に「会社を大きくしたのは父と自分だから、妹に相続する必要はない。」って同じように言い張ったんです。するとその先生がね、「うん。あなたの話、言い分は全部・とても正しい。でもそれを裁判官に言ったら、『お前は馬鹿だ』って言われるからやめときなさい。」って

もう「お客さんにこんなこと言っていいの!?」っていう感じですよ。でもそれで分割協議まとまりましたからね。

川俣
それはまた・・・(笑)。でもお客様を納得させちゃうんですよね。その一言で。
金井
お客さんは、その言葉でガツンと殴られて、言われたその時は頭にきたと思うんですけど、時間がたって頭が冷えてくると考え直したんでしょうね。
川俣
そうでしょうね。
金井
それで揉め事がトーンダウンしたんですよ。その後分割協議は成功。だから弁護士で大事なのって、お客さんに厳しいことも言えるような場数・キャリアなんでなって。
川俣
私の失敗談は女性のお客様だったので、これが男性だと言いやすいんですが、女性になると言いづらいんですよね。
金井
その先生に別件の女性のお客さんも連れてったんですけど、この時はもっと過激ですよ。引いちゃうくらい。
川俣
性別関係なしですか(笑)

相続手続をするには、他の士業の業務についての最低限の知識は必要

金井
私も士業の先生を見るときに、色々気をつけてるんですが、司法書士の先生を選ぶ際のコツってありますかね?
川俣
司法書士選びですか?
金井
私もよく失敗するんですが、私が税理士を判別する場合だと、どういう事務所で働いてきたかっていうキャリアで判別しています。資産税に強いって自称する税理士がよくいますけれども、「有能な人が多い事務所」って業界内であるんですよ。だから「どこで何年仕事してきたか」が目安として働くんですね。他の士業の場合は、業界知識が少ないので苦労しますが、税理士なら業界事情がわかっているからだいたい判別できます。
川俣
そうですね。私が思うこととしては、依頼人の「目的」がきちんと認識できて、「目的」達成に一貫した仕事ができるかどうかでしょうか、司法書士に限らない話でもありますが。

依頼人は、我々プロのところに目的があっていらっしゃるじゃないですか。だから私の行う登記手続等の実務ってあくまで「目的」達成の手段でしかないんですよ。登記をしたいから私に仕事をお願いするのではなくって、「なにかをしたい」っていう【過程】の上で私の仕事がある。

特に相続だとしたら、不動産の名義変更が依頼人の目的じゃなくって、遺産分割が目的ですよね。登記を変えることは、目的達成の「通過点」なんですよ。このことを履き違えてしまうと、お客さんの「目的」から外れてしまうってことにもなる。だから、お客さんの話をまずしっかり聴けることが、専門家であるうえで大切な点と考えます。

後は、相続の依頼を司法書士が請けるとなった場合、税理士の知識もある程度要求されます。間違った助言をしてしまうことにもなりかねない。司法書士の範疇以外のところでも、他の分野に精通していることが大事なんじゃないかと思うんですよね。

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