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新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、原則として新規の税務調査実施せず
 今回のKPCレポートは、新型コロナウイルスの影響で、新規の税務調査が凍結されている点について解説していきます。

新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、原則として新規の税務調査を凍結

 国税庁は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税等の申告・納付期限を令和2年4月16日まで延長することとしましたが、これに伴い4月16日までの期間には原則として、新たな税務調査を実施しないことを決定しました。

「税理士関与のある納税者」であり、かつ「局調査部等担当事案以外」が対象

 具体的に新規の税務調査を実施しないとされているのは「税理士関与のある納税者」で、かつ「局調査部等担当事案以外」の調査についてのみです。「局調査部等担当事案」とは、簡単に言うと大規模な法人や個人富裕層、外国法人などを対象とする調査とイメージしてください。「局調査部等担当事案」になっている法人や個人の絶対数は極めて少ないですから、一般的な法人や個人で、税理士に申告代理を依頼しているのあれば、当該期間中は税務調査が入ることはないと考えて良さそうです。また更正決定等の期間が切迫しているもの、つまり時効が迫っている事案も例外とされていますが、これも該当するケースは非常に少ないのではないでしょうか。また既に調査継続中であったり、事前通知等が行われている場合でも、コロナウイルスの感染拡大等を理由に調査日程の変更等の申し出があった場合には、弾力的に対応するとしています。

期間の大幅延長の可能性も

 一方で都市封鎖が取りざたされるほど日本国内における感染者は急増しており、4月16日までに新型コロナウイルスの問題が解決する可能性は非常に低くなっています。このため上記の期間は大幅に延長される可能性がありますので、今後の国税庁の発表を注視する必要があります。既に調査継続中の場合も、経理担当者が在宅勤務になったり、当面の資金繰り対策に追われて対応が難しいような場合は無理をせず調査日程の変更を申し出るなどして、日程を延期してもらいましょう。