K’sプライベートコンサルティングの相続・事業承継コンサルティングの特徴(不動産オーナーの方)
1.不動産オーナーの方の課題
不動産オーナーの方々にとって、最大の課題は、先祖や両親が残してくれた不動産、あるいは自分が築いた不動産を、生涯に渡って守り抜き、次世代により多く引き継ぐことです。しかしそれにはいくつかのクリアすべき課題があります。例えば「不動産の共有」は相続・事業承継における「最大のタブー」とされる一方で、共有にしないと兄弟不平等になってしまうという問題点が多くの不動産オーナーにはあります。あるいは、総資産に占める不動産の比率が高く、資産規模が大きいわりに現預金が少ないため、相続税などの納税資金が不足しているケースが良く見られます。これらの課題をどうやって解決していくかが、不動産オーナーの課題ということになります。
2.不動産オーナーの典型的失敗例
特に現預金の不足は、不動産オーナーの破滅を引き起こすケースがあります。相続発生まで何もしないでいると、いざ相続が発生してから、相続税を納めるだけのお金が無いという事態に陥ることがあります。相続税は相続開始後10カ月以内に現金納付が原則ですから、納付のため慌てて不動産を売却換金しようとする不動産オーナーがいます。プロの世界では常識ですが、お金に困っている人が期限を決めて不動産を売ろうとすることほど危険なことはありません。「生き馬の目を抜く」不動産の世界では、そんな情報が出回ったら、周囲は一斉に足元を見てくることになります。つまり相手がお金に困っているのを見透かして、買い叩かれてしまう危険性が高いのです。時価の半値以下で大切な不動産を奪われてしまい、相続税を払ったら何も残らなかったという不動産オーナーは少なくないのです。
3.提案型営業(ハウスメーカー)による提案事例
このような事情から不動産オーナーの「相続税」に対する潜在的な恐怖感は強いものがあります。これに関連して「相続税を減らしましょう」という切り口から、様々な「提案型営業」が出てきます。その典型例が「アパート建築による相続税の節税対策」です。
もちろんアパートを建築すれば、相続税が減るのは事実です。しかしこれをやったがために、さらに状況が悪化している不動産オーナーが多く存在しているのも事実です。特に「税金」のことばかり頭にあって、「キャッシュフロー」の感覚がない不動産オーナーは陥りやすい罠です。
アパートの建築費は多くの場合、借入金で賄うことになるわけですが、それは当然ですがアパートの家賃収入で返済していくことになります。今の日本では多くの地域で人口減少やアパートの供給過剰により、空室率が上昇傾向にあり、家賃相場は下落傾向にあるというのは周知の事実です。もしアパートが空室だらけになったり、賃料相場が下落していけば、毎月の元利金返済が次第に難しくなっていきます。特に不動産は時間が経つほど老朽化により賃料が減少したり、修繕費が増加していくことがほとんどです。このため不動産のキャッシュフローは今日より明日、明日より明後日は苦しくなることになり、基本的に今日より明日が良くなることはありえません。最悪の場合、利息すら払えなくなり、不動産が競売にかけられ時価の半値で奪われてしまった「元富裕層」は多く存在しています。そこまで行かなくても、現預金がより一層不足し、相続税の納税のために失われる不動産は大きく増加することになります。。これはアパートに限らず、マンションやビル経営など「不動産投資による相続税対策」全般に言えることです。特に今のような建築費が高騰している時期に「不動産投資による相続税対策」を実行すれば、2~3年は良くても、最終的な借入金完済にたどり着くことなく、途中でバッドエンドを迎える可能性は非常に高いのです。
しかし多くの場合「不動産投資による相続税対策」を勧めてくるのは、不動産オーナーの相続・事業承継の問題解決が目的ではなく「アパート建築」や「不動産の販売」「融資」などを目的とするハウスメーカーや銀行などの「提案型営業」です。彼らによる情報発信の特徴は「自分達にとって都合の良い真実を大声で繰り返し連呼する」というものです。つまりアパート建築等の不動産投資によって「相続税が安くなる」だとか「収入が増加する」あるいは「固定資産税が減る」などの「不動産投資をしたくなるような真実」だけを繰り返し叫びます。一方で「人口減や賃貸物件の供給過剰により空室率が上昇している」とか「35年間家賃保証は、2~3年で保証単価の見直しが入る」と言ったような「不動産投資をやめたくなるような真実」については、一切触れないか、あるいは契約書や提案書のスミに「虫眼鏡で見ないと見えないような小さな字」で書かれているというのが通例です。このため「提案型営業」が発信する情報だけに基づいて意思決定をすると「バラ色の未来」があると信じていたのに、やってみると「こんなはずじゃなかった」と後悔することになる危険性が大きいのです。
4.K’sプライベートコンサルティングの提案事例
我々は不動産投資を促す立場に無いことから、まずは不動産オーナーの状況をじっくりと分析することになります。例えばどのような不動産を持っているかを情報収集し、収益力のあるものと無いものをふりわけます。また相続税が足りないとして、具体的にいくら足りないのか、そして人間関係は良好かなどを分析します。生前にきちんとした相続・事業承継計画を立案し、実行すれば不動産を売却せずに問題解決が出来るケースは実際は少なくありません。不動産の一部売却が避けられない状況にあったとしても、我々は、収益力が低く、税が割高になっているような不動産、例えば貸宅地や山林、無道路地などの売却換金を提案することになるため、非常に多くの優良不動産を次世代に引き継ぐことができます。
これらの不良不動産を換金し、収益力が高く、税が割安な賃貸マンションや賃貸ビル、駐車場などの相続税や修繕費、管理費等に充当することで、優良不動産だけが残っていくことになります。ここでも「提案型営業」との考え方の相違が発生します。不動産会社に助言を求めれば「簡単に高く売れて、すぐに多額の仲介料がとれる」優良不動産の売却を通常は勧めてくることになります。そのような助言に従うと、優良不動産が無くなっていき、気がついたら収益性の低い「不良不動産」だけになっていたということになります。宅建業の免許を持たず、不動産仲介業をやらない我々だからこそ、不良不動産を売るような助言が出来るのです。だからと言って不動産会社と付き合わないということではありません。むしろ私から実力のある不動産会社の紹介をし、不動産売却の仲介依頼を私から強く勧めることは非常に多いです。買い手候補との不動産取引を仲介し、顧客の望む不動産売却を実現することは、プロフェッショナルである不動産会社の仕事です。しかし「不良不動産の売却」の仲介依頼が、不動産会社にとって「美味しい仕事」かどうかは私にはわかりません。しかし顧客にとってのベストソリューションになったことは言うまでもないでしょう。